あぶくま抄・論説

論説

  • Check

【元号と歴史の流れ】時代を区切り、つなぐ(12月28日)

 間もなく始まる2018(平成30)年は元号(年号)が明治と改められた1868年から150年に当たる。戊辰戦争による県内での戦いからも同じ年数がたつ。
 平成の次の元号は来年中に発表されるとみられ、歴史は大きな節目と区切りに差し掛かる。身近な地域や国の歩みを振り返りながら、先人が残した知恵と教訓を学び、後世につなぐ機会といえよう。
 政府は「明治150年」の関連施策を進めている。県内では戊辰戦争を問い直したり、犠牲者を慰霊したりする取り組みが続く。県外には「明治維新150年」を題材にした観光キャンペーンや地域おこしもある。
 県教委によると、学習指導要領や教科書には明治維新について「当時の社会全体の大きな変化」「幕末から明治時代に至る近代国家形成の一連の過程」などと示され、開始や終了の時期は研究者によってさまざまな説や解釈がある、という。内政や外交の変革、社会の激動の背景を探ったり、その後の歴史にどう影響したのかをたどったりする努力が大切だ。
 県内の各学校は地域に関わる素材を授業に取り入れ、児童や生徒の興味と関心を高める工夫を凝らす。歴史の評価や記述には、利害や考え方の違いが表れる場合がある。一つの歴史観や思想に偏ることなく、多くの資料を幅広い視点で読み解き、過去に誠実に向き合う姿勢が欠かせない。
 元号が明治に改められた際に「一世一元の制」が採用され、新天皇の即位に合わせて改元することとされた。明治より前は慶事や災害などの理由で改められたときもあった。現在は元号法で「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」と定める。
 元号は単に年を表すだけではない。応仁[おうにん]の乱、元禄[げんろく]文化、安政の大獄のように歴史上の重要な事柄や出来事の呼び名にも用いられてきた。大正デモクラシーや昭和の歌謡曲といった表現で、時代の特徴や情景、世相の移り変わりを感じさせる働きも持つ。
 時代や年代を記す方法には西暦による年や、西暦の100年単位を示す世紀、「原始~古代~中世~近世~近代~現代」の区分、権力の中心が置かれた鎌倉や江戸などの地名、石器や土器などの道具名もある。世界史では国や宗教によっても違いが見られる。
 教科書での元号と西暦の表し方は、双方の併記や西暦優先などに分かれている。改元に合わせて、元号や西暦の由来、使い分けや換算、時代区分の意味や役割を改めて確かめてほしい。(安田信二)

カテゴリー:論説

論説

>>一覧