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仁と義(1月3日)

 旧暦の慶応4(1868)年1月3日、京都南郊に銃声が響き渡った。進軍する東軍(旧幕府軍)と、街道を封鎖する西軍(新政府軍)が衝突し、戊辰戦争の緒戦となる鳥羽・伏見の戦いが勃発した。戦火は東北にも及び、多くの尊い命が犠牲となった。
 開戦から150年。今年は県内各地で節目の関連行事が予定されている。慰霊祭や資料展、講演会、戦地巡りなど多彩だ。ゆかりの地との交流を加速させる動きもある。郷土のために戦った先人に心を寄せ、地域の歴史に目を向ける絶好の機会となる。
 戊辰戦争150周年のキャッチフレーズに白河市は「甦[よみがえ]る『仁』のこころ」、会津若松市は「『義』の想い つなげ未来へ-」を掲げた。「仁」は相手を思いやる心で、「義」は人として守るべき正しい道を意味する。そして、社会生活に最も必要な基本的道徳を「仁義」という。
 福島に息づく精神文化は戊辰の敗戦を乗り越え、明治以降の激動の時代を切り開いてきた。今は震災と原発事故からの復興を支える原動力でもある。心の空洞化が叫ばれ、人工知能(AI)が台頭する時だからこそ、戊辰の戦史を振り返りつつ、「仁」「義」を胸に刻む年としたい。

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