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【創生期間折り返し】懸案解決の道筋を(1月5日)

 内堀雅雄知事は4日の年頭会見で、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興が新たなステージに進むよう全力を挙げる考えを強調した。2018(平成30)年度は2016年度から5年間の復興・創生期間の折り返しとなる。今後の復興の進め方が問われる重要な年と位置付け、現行の事業を総点検して実情に即した対策を再構築するとともに、積み残しの課題解決に道筋を付ける必要がある。
 原発事故からの復興に向けた最優先課題として、内堀知事は被災者の生活再建や事業・生業[なりわい]再生へのきめ細かな対応、特定復興再生拠点区域の着実な整備、風評・風化対策などを挙げた。
 事業・生業再生では、福島相双復興推進機構(官民合同チーム)などが被災事業所の個別訪問や専門家による助言・指導などを最前線で展開し、一定の成果を上げている。一方で、高齢化や後継者難、採算面などから二の足を踏んだり、廃業を考えたりしている事業主からは、賠償や支援だけでは限界があるとの声も聞く。
 ならば、県のみならず国がさらに前面に出て避難指示解除区域などへの企業誘致を橋渡しし、企業側には避難者の雇用や地元事業所との連携を条件に手厚い優遇措置を講じるなど、国策として事業・生業再生に取り組む必要があるのではないか。
 風評・風化対策については、県が包括協定を結んでいる企業の発信力を活用し、新たに社内報やメールマガジンなどで本県に関する情報を社員に広く伝えてもらうとした。届く相手は企業によっては数千人、数万人に上るという。これだけの規模の社員に情報を単に発信するだけではもったいない。研修、保養、社員旅行などで大勢の社員に県内へ足を運んでもらうための支援も欲しい。
 積み残しの課題では、復興・創生期間の終了に合わせて設置期限が切れる復興庁の後継組織の在り方や、トリチウムを含んだ汚染水処理に対する方向性をきちんと明示するよう国や東電に求めたい。
 加えて、東電は福島第二原発の廃炉を今年こそ、しかも早期に決断するべきだ。小早川智明社長は昨年11月、県議会から廃炉工程を示すよう要求されたのに対し、「重く受け止める」と述べた。内堀知事は年頭会見で、東電幹部と5日に面会する際、廃炉を重ねて求めるとした。東電に対しては、廃炉を決断しない限り、東電も、本県の復興も次の段階には進めないと言いたい。(五十嵐稔)

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