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漁師の魅力伝えたい いわきのNPO法人職員、榊裕美さん

 いわき市久之浜の港町に活気を呼ぼうと、25歳の女性が奮闘を続けている。埼玉大大学院を休学し、市内のNPO法人「ワンダーグラウンド」職員となった榊(さかき)裕美さん。漁師に溶け込もうと毎週、試験操業の漁船に乗り込む。地域づくり講演会を開き、海の男を紹介するフリーペーパー(無料雑誌)を作る構想も温めている。「地域を元気にしたい」と張り切る毎日だ。
 青森県八戸市出身にちなみ「りんご」。久之浜の漁師が親しみを込めて呼ぶ榊さんの愛称だ。りんごは毎週水曜日の朝4時半、試験操業の船に乗る。網を操る技を学び、魚群の流れを読む勘を磨く。海の男の神髄に触れる貴重な時間だ。
 ワンダーグラウンドの事業として昨年9月、地元の児童と漁師が触れ合う初のイベントを開催した。約30人が参加し、タコ漁の仕掛け作りを体験、漁船に乗ってタコ、サケ漁を見学した。漁師にインタビューし、久之浜で取れる魚種を紹介する魚図鑑を仕上げた。「漁師になることも考えてみようかな」という子どもたちの素直な感想がうれしかった。
 港町の活性化に取り組んでいる東北地方などの関係者を招き、講演会を開きたいと考えている。若手からベテランまでの漁師を取り上げたフリーペーパーの作成を目指している。一人一人の人となりを紹介するという。漁師を「かっこいい職業」として認知してもらうための取り組みだ。
 故郷の八戸に住む親族の漁師から、風や荒波と闘う船上での苦労話を聞いて育った。埼玉大1年生だった2011(平成23)年、東日本大震災のボランティアでいわきを訪れた。久之浜などに足を運び、高齢化と漁業の担い手不足に悩む港町は震災で一層元気を失いつつあると感じた。
 埼玉大大学院教育学研究科に入学したが、「何とか被災地の力になりたい」との思いは募るばかり。そんな折、久之浜の活性化を目指した事業を模索していたワンダーグラウンドの存在を知り、職員となった。
 ワンダーグラウンド理事長の酒井悠太さん(34)は「地域に支えられながら頑張る榊さんを今後も応援したい」と話す。若い女性が芽吹かせた活動をNPOの事業として継続する考えだ。
 榊さんは「自分にできることは限られているが、今までの経験とつながりを生かして久之浜の復興を後押ししたい」と目を輝かせている。
 「りんご」の挑戦は港を笑顔にする。

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試験操業の漁船で、久之浜の漁師と共に笑顔を見せる榊さん(中央)
試験操業の漁船で、久之浜の漁師と共に笑顔を見せる榊さん(中央)

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