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【ヘルプマーク】もっと普及させよう(1月18日)

 赤地に白い十字とハートを記した名刺大の札-「ヘルプマーク」をご存じだろうか。携帯している人に、義足や人工関節、内部障害など外見では分かりにくいハンディがあることを知らせる。気付いた周囲の人の配慮や援助が優しい社会づくりにつながる。県内では昨年9月に郡山市が配布を始めた。努力と工夫を重ねて、理解者を一人でも多く増やしたい。
 ヘルプマークは、2012(平成24)年、東京都が考案した。都は希望者へのマーク配布と並行して、バスや地下鉄、病院などに趣旨を説明したポスターを掲示した。電車やバスで席を譲ることなど、マークを携帯している人への配慮を呼び掛けている。
 当初は東京都だけの取り組みだったが、2016年に京都府がマークを採用してから徐々に全国へ広がっている。昨年7月にはJIS(日本工業規格)の案内用図記号に登録され、全国基準と認められた。全国での導入を呼び掛けているボランティア組織全国ヘルプマーク普及ネットワークによると、1月1日現在で17都道府県が全域でマークを導入しているという。
 郡山市は障害者団体の要望を受けてマークを導入した。援助や配慮を必要としている旨の申告があれば、誰にでも無料で配布する。年末までに475枚を配った。広報にも力を入れ、公共施設と学校、駅など約260カ所にポスターの掲示を依頼した。合わせて趣旨を記載したチラシも作り、イベント会場などで配布している。
 マークを有効に活用できるようにするには、導入自治体を増やすことが必要だ。限定された地域で認知されても、何も知らない人にとっては、ただのアクセサリーに見えてしまう。県内全域で導入されれば、都営地下鉄が実施しているような公共交通機関への統一的な優先席設定につながる。優先席のマーク掲示で認知度はさらに高まるはずだ。
 郡山市は県内の福祉担当職員が集う会議で市の取り組みを紹介している。普及ネットワークは動きを加速させようと、緊急連絡先や必要な支援内容を記載できる、マークの図柄入りの「ヘルプカード」を昨年の会津まつりで配布した。現在も会津若松市役所などで受け取ることができる。
 ヘルプマークは、困っている人に対する周囲の思いやりある行動で、初めて効果を発揮する。行政の取り組みが肝心だが、気付いた人が優しさの輪を広げることがさらに大切だ。一人一人の助け合いの心が、安心で安全な社会を築いていく。(鈴木俊哉)

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