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受験生への気遣い(1月21日)

 「家の中でもマスクを外せないんだ」。受験生の息子を持つ同僚がこぼす。大事な本番を前に、風邪でもうつしたら大変だ。睡眠は十分だろうか。栄養はしっかり取れているか。家族であれこれと気をもむ。
 大学入試センター試験が終わった。県内では6900人近くが志願した。ほっとする間もなく、受験生は自己採点を終え、2次試験に向けて気持ちを引き締めていることだろう。第一志望に合格してほしい家族にとっても、しばらくは我慢の日々が続く。
 44年前のテレビドラマ「寺内貫太郎一家」の長男は大学浪人生だ。試験を前に、頑固おやじの貫太郎は怒鳴らないよう、妻にくぎを刺される。長男は腫れ物に触るような態度が面白くない。わざと遊んで反発する。最後は貫太郎の堪忍袋の緒が切れて、取っ組み合いになる。
 親子げんかの後、貫太郎役の小林亜星さんが長男役の西城秀樹さんに汗を拭けと手拭いを差し出し、わだかまりは解ける。貫太郎のお守りが息子の首で揺れている。脚本の味は向田邦子さんならではだった。受験生が実力を出すには普段通りに接するのが一番だ。そう言うと、同僚にむっとされた。「それが難しいんだよ」

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