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闘将の思い(1月22日)

 2013(平成25)年11月2日、巨人を迎えたプロ野球日本シリーズ第6戦。楽天ファンでほぼ埋まった仙台市のホームスタジアムが静まりかえった。「田中が負けた…」。
 創設9年目の楽天は第6戦で初優勝に王手をかけた。マウンドには田中将大投手(現ヤンキース)がいた。レギュラーシーズンは24勝無敗の絶対的エース。負けっこない。楽勝ムードすら漂う。だが、160球完投も報われなかった。
 悲嘆、悲鳴、むせび泣き。スタンドは異様な雰囲気に包まれた。突如、星野仙一監督の声が響く。「今日のお客さんはついている!」。意表を突く弁にスタンドがざわついた。「田中の唯一の負けを見られたんだ」。うなだれたファンの顔が上がった。
 「東北の皆さんは優し過ぎる。選手と一緒に落ち込んじゃ駄目だ」。常々語っていた。ファンは目を肥やし、期待を裏切るプレーには厳しい姿勢で接してほしいと。東北にプロ野球文化を根付かせたい。その一心だった。今季、本県出身の2人が新たに加入し、福島生まれの選手は5人となった。天上の闘将はきっと、こうげきを飛ばすだろう。古里を元気にするプレーをしろよ-。

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