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【民泊新法と条例】適切管理で健全利用を(2月3日)

 6月の住宅宿泊事業者法(民泊新法)の施行に合わせ、県は営業区域の制限などを定める条例案を2月定例県議会に提出する。国は外国人旅行者の増加、宿泊需要の多様化、東京五輪で懸念される宿泊施設不足などに対応する新たな受け皿としての民泊をルール化した。新たな宿泊形態が社会的に認められるには多くの問題も予想される。新法と条例によって県内でも民泊が適切な管理の下、健全に利用されることを望む。
 新法によって、民泊事業を希望する家主は県に届け出れば、ホテルや旅館の営業が認められていない住宅地でも年間180日まで営業が可能になる。現在も旅館業法に基づく許可を取れば営業できるが、厳しい基準要件を避けて違法な民泊もあった。新法によって条件を満たした施設に制限され、こうした違法民泊が減るという見方もある。
 それでも、県内の旅館・ホテル業界にとっては震災と原発事故後の観光入り込みに力強さが欠ける中での競争相手の拡大となる。宿泊客の安全や衛生に関し、民泊より高いレベルの負担が科せられている旅館やホテルへの選択が損なわれないよう、社会的な配慮が必要だろう。
 民泊が拡大する京都市では騒音、ごみの放置、深夜の出入りなどが問題化し、多くの苦情や相談が市に寄せられている。本県で都市部の住宅地に民泊が急拡大するとは考えにくいが、家主や管理業者は問題が生じないよう未然に対応すべきだし、ルール違反への罰則は厳正であるべきだ。
 県の条例案は、平日(長期休暇中を除く)に学校などの施設の半径100メートル以内で営業することを原則として禁止している。別荘地や渋滞が懸念される山間部などでは市町村の意見で制限を検討する。自治体によってはもっと厳しい条例案を用意している。県の条例案への意見公募には29件が寄せられた。県議会では県全体の観光振興の観点から有意義な議論をしてほしい。
 本県の従来型の農家民泊は多くが旅行業法の簡易宿泊の許可を受けているが、煩雑な手続きを敬遠する向きもあった。新法で参入が容易になれば、教育旅行で求められる地域の収容力の拡大にもなる。旅館と民泊で一泊ずつといったプランで共存も可能だ。
 少子化で国内観光が縮小する中、伸びが期待できるのは外国人のインバウンドだ。田舎ぐらしや豊かな自然など本県には外国人が楽しめる魅力がたっぷりある。多様な宿泊施設、豊富な観光体験で本県全体の魅力が向上する姿が望ましい。(佐久間順)

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