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氷柱(つらら)(2月4日)

 福島市の郊外。老婦人が軒をまじまじと見上げている。「こんなに長いつらら、久々に見たわ」。子どもたちが長さを競い合った。棒アイスのようにポリポリとかじった…。都会に住む息子たちとの思い出をぽつり、ぽつりと語る。
 つららは「氷柱」と書く。表意文字ならではの的を射た表し方だ。なぜ、「つらら」なのか。諸説ある。表面がツルツルして、光沢があるので「つらつら」。転じて、その名になったという。熟考する姿は「つらつら考える」とも。滴がゆっくりと時間を費やし、凍っていく様子と重なる。
 例年にも増して厳しい寒さが続く。厳冬ゆえの自然現象を捉えた写真がたびたび本紙にも載る。一方で会津地方では除雪中の不幸な事故も起きている。豪雪地帯では、つららを感傷的に見る人は、そう多くはないかもしれない。
 「春になると、家族が増えるの」。老婦人は凍える手をさすりながら笑顔を浮かべた。都会に住む息子夫妻がUターンしてくる。30年ぶりに同居する。掃除や家財道具の整理、布団の打ち直し。何かと忙しい。早くつららが消える季節になってほしいと願う。今日は立春。春の足音は、日に日に近づいているはずだ。

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