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【県の当初予算案】県土の基盤底上げを(2月7日)

 内堀雅雄知事は6日の記者会見で、県の2018(平成30)年度一般会計当初予算案を福島の未来を切り開く「復興・創生チャレンジ予算」と位置付け、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からの復興と地方創生に全力を挙げる考えを示した。
 2020年度までの5年間の復興・創生期間は折り返しを迎えるが、復興は途上にある。人口減少にも歯止めはかかっていない。挑戦する足場として、まずは県全体の産業と生活基盤を底上げする必要がある。現・旧避難区域をはじめ県内隅々に効果が行き渡る施策を求めたい。
 予算編成に際して力点を置いた柱の一つとして、県産品の付加価値の創出を挙げた。既存の商品のデザインなどを改良して新たな価値を生み出し、販路を広げる取り組みだ。商品が市場にあふれる中、消費者の目に留まり、選んでもらえれば必ずファンは増えていく。県産品の品質への自信が事業の底辺にある。
 県内では実際、デザインなどを工夫しただけで売り上げが伸びた例がある。「ふくしまブランド」として確立させるため、県産品全体の品質も一層向上させたい。
 地方創生面では、人口減少対策として子育て支援とともに人づくり、仕事づくりを主要事業に据えた。県内では新規就農者が増加傾向にあり、受け入れ態勢の充実、教育機関との連携などを通して担い手の育成・確保に努めるとしている。就農は基幹産業の再興とともに定住人口の増加につながる。若者が移り住めば地域の新たな活力にもなる。
 ただ、人口減少対策と産業振興、地域づくりを結び付けた事業を県の各部局だけで取り組んでも実績を上げるのは難しい。各部局、市町村、生産団体などとの連携が欠かせない。新規就農者を呼び込む上では、受け入れ地域の魅力づくりも大切だ。
 復興関連事業を見れば、除染や災害公営住宅の整備などは進んでいるとはいえ、避難指示が解除された地域の住民帰還の受け皿づくりや、帰還困難区域の拠点整備など課題はなお山積している。当初予算案は震災後、最大の減額となったが、除染など大規模事業の終息とともに復興関連予算が大きく削られているようでは避難者、帰還者の挑戦心が高まるはずはない。未来よりも、むしろ今をどう切り開いていくかが問われている。
 会見で内堀知事は、復興は長い道のりになるとして復興・創生期間終了後も引き続き国に必要予算の確保を求めると強調した。国も肝に銘じてもらいたい。(五十嵐稔)

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