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【ロボット研究拠点】住民理解で事業促進へ(2月8日)

 南相馬市と浪江町の一部に建設される「福島ロボットテストフィールド」全体の起工式が6日に行われた。本県復興への核となる事業がいよいよ目に見えて動きだした。ただ、未知の世界の「ロボットのまち」が本当に地域の雇用や経済活性化につながるのか疑問視する声は消えない。ロボット関連催しの地元への広報が少ないとの声も聞く。新たな事業の成否には、住民の理解と協力が不可欠だ。国や県、関係自治体は、住民が理解し、住民に応援してもらうためにさらに努力が必要となる。一方で、住民も自らが関心を持ち、関わる気持ちを持ってほしい。
 ロボットテストフィールドは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した浜通り地域に新たな産業を創出する国家プロジェクト「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の拠点となる施設だ。本館としての機能を持つ研究棟を備える南相馬市の約50ヘクタールの敷地には、小型無人機「ドローン」の大型研究施設、インフラ点検と災害対応のための実物同様の試験用橋りょうやトンネル、高さ30メートルのビルプラント、市街地やがれき・土砂崩落フィールド、水中・水上ロボット用の大水槽などが設けられる。来年度中には全ての施設が完成するが、今年春には、まず「広域飛行区域・通信塔」を開所し、運用を始める。
 新たな施設に対する国内外の期待は大きい。起工式が行われた当日、南相馬市で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「物流・インフラ点検・災害対応ロボットシンポジウムin福島」を開催した。各分野でロボット研究開発を進める大手企業がそれぞれの成果や実験施設の活用方法などについて解説した。翌日も同市で新たなドローンの実証実験が行われた。ロボット開発に向けたさまざまな取り組みが相双地方で既に頻繁に始まっている。
 ところが、あまりに急激なロボット関連事業の動きに、地域住民がついていけない面があるのも事実だ。今のところ直接的な雇用や地域経済活性化につながっていないと感じているためかもしれない。しかし、施設は世界に類を見ない一大研究開発拠点となり得ることは間違いない。国や県はもっと情報を地域住民に提供し、大学の出先機関や宿泊施設、道路網の整備などの付随する開発を目に見える形で後押しする必要がある。住民の理解と賛同、応援があってこそ復興への道はつながるはずだ。(関根英樹)

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