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【若松のICT】生の声を生かせ(2月9日)

 情報通信技術(ICT)の拠点づくりを目指す会津若松市は今週、初めての企業誘致セミナーを東京で開いた。会場として設定した秋葉原はICT企業が多く立地する。市の予想を超える約80社から約150人が参加した。来年春には、「スマートシティ会津若松」を推進するICTオフィスが開所する。セミナーの経験を足掛かりに、進出希望企業の細かい要請に応える態勢を整えてほしい。
 市が主催し、市と共にICTオフィスを所有する民間のアユムが共催した。自民党のIT戦略委員長の基調講演、会津若松市の室井照平市長、会津大の岩瀬次郎理事を含む5人のパネリストによるディスカッション、名刺交換会で構成された。IT先進地としての実績、住環境や子育て、教育の素晴らしさ、会津大との連携など、おおよそのメニューは網羅されていたが、会津ならではの「強み」をもっとアピールしなければならないと感じた。
 双方向で対話できる名刺交換会に時間を割いたのは良かった。参加企業の担当者からは「持っている幅広いデータを積極的に公開する市の姿勢は評価できる」との声を聞いた。先端ICT産業集積にいち早く取り組んでいる会津若松市は、全国でもトップクラスのエネルギーや観光、農業など多彩なデータの量と質を誇る。出席者の多くは、この「強み」を理解しているようだった。こうした声は今後の新たな誘致活動に生かせる。
 既に会津若松市進出の準備を進めている企業からは、縦割りの行政に対する不満が聞かれた。各種手続きが部署ごとに分かれ、何度も足を運ぶケースがあるという。比較的小規模な人員で運営しているICT関連企業にとっては負担だ。行政手続きがワンストップで完了できるなら、会津若松市への企業進出の意欲も高まる。
 日銀福島支店の菅野浩之支店長は先だって、会津若松市で開かれた新春講演会でICTによる地域活性化に期待を寄せた。工業団地を造成し、製造業を呼び込み、衰退した地元経済の回復を図る…という、従来型の景気回復のシナリオには限界があると指摘。人口減少や高齢化などの県内の課題が先行している会津若松市だからこそ、先進モデルとして発展させる意味があるとエールを送った。
 セミナーで会津若松に対する関心の高さは確認された。今回得た貴重な生の声一つ一つに丁寧に対処していくことが、「スマートシティ会津若松」の成功につながっていくだろう。(安斎康史)

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