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【働き手確保】女性や高齢者こそ宝(2月13日)

 本県の有効求人倍率は30年ほど前のバブル経済期に匹敵する水準で高止まりしている。人口減少は加速化しており労働力不足が深刻化するのは明白だ。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に水を差しかねない。
 県や市町村は若者の定着と移住・定住促進などに取り組み、人口減少に歯止めをかけようと必死だ。ただ、多様な進学先や働き口を全て地元に確保するのは至難だ。移住・定住希望者は地方にとって頼もしい存在だが、人口減少に悩む全国自治体で奪い合いとなっており、多くは期待できまい。それよりも、元気で意欲のある女性や高齢者が地元で働ける環境を整え、労働現場に導いていくべきだ。
 有効求人倍率は求職者1人に何人分の求人があるかを示している。本県は昨年12月に1.47倍を示し、66カ月連続で1倍を超えた。介護、建設、サービス、輸送業は2倍を上回る。求職者には選択肢が増えるものの、事業所にとっては必要な人材が集まりにくい状況となる。人手不足を理由に設備投資をためらう事業所もあるという。
 総務省が発表した2017(平成29)年の人口移動報告によると、本県は転出者が転入者を上回る「転出超過」が8395人で都道府県別で最も多かった。男女とも4000人を超えた。震災後の2014、2015年、男性は転入者の方が多かったが、2016年から再び転出超過となった。復興事業が峠を越えて働く人が県外に移ったためとみられる。転出を止める即効薬は見当たらない。
 人口が減っているのだから働く人も減る、好況の中で有効求人倍率が上がるのは当然-と考えがちだが、そうでもないようだ。15歳以上の就業者と求職中の失業者を合わせた労働力人口は国内で増えているからだ。政府は人口の約3割を占める65歳以上と、65歳未満の女性で働く人が増えているためと分析する。中でも女性の働く率の伸びは著しい。ここ10年で約60%から70%近くまで上昇した。だが男性に比べると依然低く、改善の余地はある。
 働く年齢層が広がり、女性の就労意欲も高まっている。地域や家庭に眠っている人材を働く場に誘導するためには出産、育児、教育など子育て環境の充実が不可欠だ。県は人口減少・高齢化と子ども・若者育成の両分野を別々に取り組んでいるが、統合してより効果的な施策を打ち出すよう望む。女性や高齢者の働きやすい環境づくりは産業のみならず地域の活性化にも寄与するに違いない。(鞍田炎)

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