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【県産米の味と質】改良を続け変化に勝つ(2月15日)

 県は県産米のうち、コシヒカリや独自品種「天のつぶ」などの主要な7種類全てについて、食味の良さを示すランキング評価で最高の特Aを目指す。2016(平成28)年産の特Aは3つで、2倍強の目標となる。新年度当初予算案に生産や機械整備を支援する経費を盛り込んだ。
 全国3位の県土面積がある本県の稲作は、地域ごとの気象や地形、標高などに応じた品種の開発と育成、栽培管理技術の工夫を積み重ねてきた。今後は東日本大震災からの立ち直りに加え、地球温暖化への備えも大切だ。各品種の特性の純度を維持したり、高い品質の種子を農家に安定的に供給したりする取り組みを充実する必要がある。
 県はおいしさや品質とともに、暑さ寒さや病害虫への強さ、収量の多さなどの特長を持つ品種の開発に努めてきた。1989年度以降で「天のつぶ」や「里山のつぶ」を含む5つの品種を育成した。
 県農業総合センターの研究テーマの一つに「気象変動に打ち勝つ生産技術の確立」がある。郡山市のセンター本部、会津坂下町の会津地域研究所、相馬市の浜地域研究所で、コシヒカリ、ひとめぼれ、天のつぶを毎年、同じ方法で栽培し、気象条件によって草丈、茎数、収量などがどう変わるかを調べている。
 その結果を農家に知らせ、追肥や水管理、病害虫の防除、収穫時期の判断に役立てている。全国有数の食味、品質、収量は長い年月にわたる研究や労苦の結晶といえる。
 地球温暖化に伴う農作物などへの被害を減らす気候変動適応法案が開会中の通常国会に提出される。県や市町村は地域の実情に合った対応策を示す適応計画づくりや情報の提供を求められる見通しだ。
 水稲は出穂期以降に気温が高い状態で経過すると、登熟が順調に進まず、玄米が白濁し、品質低下を招く高温登熟障害が懸念される。農業総合センターは県全体の温暖化対策推進計画に先行し、東日本大震災前から調査や研究を続けてきた。具体的には、温暖化に対応する生産システムづくりの事業を通じて(1)将来、出穂時期が早まる(2)冷害の危うさは極端に低下しない(3)高温登熟障害には適切な施肥管理と品種選びが重要である-との結果をまとめた。
 国による生産数量目標の配分は今年産から廃止される。全国の産地から新銘柄が次々に発売される一方で、外食産業などで使う業務用の需要もある。消費者の好み、需給と価格の動き、気候変動を見越し、品種や技術の改良を強化するべきだ。(安田信二)

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