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日本初の女性博士(2月15日)

 日本初の女性博士となった保井コノ(1880-1971年)は18歳の春、進学のため香川から上京した。「女性が科学を学んでも国の役に立つわけがない」といわれた時代だ。自らの可能性を信じ、お茶の水女子大の前身に当たる東京女子高等師範学校で植物の研究に没頭した。
 男性でないために処遇は厳しかった。政府は英米への留学を渋った。科学論文が海外の専門誌に日本人女性として初めて掲載されても地位は改善されない。そこに手を差し伸べたのが元白虎隊士で当時の東京帝国大総長の山川健次郎だった。帝大に研究者として迎え入れ、活躍の機会を与えた。
 先月、通常国会の施政方針演説で安倍晋三首相は山川に言及した。貧しい家庭の若者に学問の道を開き、女性の教育も重視したとたたえた。その一例として女性博士誕生への功績を紹介し、「国の力は人にあり」と声を張った。
 保井は晩年、山川らの英断がきっかけとなり、各分野で女性博士が躍進するようになったと述懐している。人が人を育て、新たな時代を切り開く。戊辰戦争の敗戦から立ち上がり、日本近代化に力を注いだ先人は郷土の誇りだ。まさしく、会津の力は人にあり。

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