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【ペットの災害対策】社会的合意が必要(3月17日)

 環境省は大規模災害時のペット救護策を示したガイドラインを改訂した。併せて、名称を「人とペットの災害対策ガイドライン」に変えた。自治体向けだが、同省のホームページで誰でも閲覧できる。飼い主にとってペットは大切な家族の一員だ。ペットの災害対策について社会的な合意づくりを進めていきたい。
 東日本大震災後、本県では東京電力福島第一原発事故による混乱で、多くの犬や猫が置き去りにされたり、飼い主とはぐれたりするケースが相次いだ。環境省は2013(平成25)年、ペットと一緒に避難する「同行避難」を柱の一つにしたガイドラインを作成した。2016年4月の熊本地震では多くの同行避難が実践された。しかし、避難所にペットが入れなかったり、鳴き声やマナーでトラブルが起きたりした。先月末に公表された改訂版は改善のため、飼い主や自治体、獣医師会などが平常時と災害時に、それぞれ果たすべき具体的な役割をより明確にした。
 飼い主は「自助」を基本に、ペットの健康と安全を守る責任を負う。平常時から、しつけや健康管理、少なくとも5日分の餌の備蓄などを求めている。避難所ではルールに従い、飼い主の責任の下で飼育する。一人一人がしっかり認識しなければならない。
 自治体が担う平常時の役割の一つには、改訂前からペットとの同行避難を含めた避難訓練がある。県によると、2016年の会津若松市を会場とした県総合防災訓練、2017年の福島市での県総合防災訓練と南相馬市総合防災訓練で同行避難が実施された。同行避難の啓発と、理解を広げるため、さらに多くの市町村で行われるべきだ。
 県は環境省のガイドライン作成より早く、11年前に「災害時における動物(ペット)の救護対策マニュアル」を策定した。2015年には同行避難の必要性などを盛り込み改正している。だが、ガイドラインは、さまざまな項目を詳細に定めている。今後はガイドラインに則した再改正も必要になるだろう。
 一ノ瀬正樹東京大大学院教授は「福島はあなた自身 災害と復興を見つめて」(福島民報社刊)で被災地の家畜や犬、猫を巡る「動物倫理」の在り方を問題提起し、ペットにも大切な命があることを説く。災害時は住民の安全確保が最優先だが、ペットも守られるべきだ。一方で、犬や猫が苦手という人もいる。避難途中や避難先でのトラブルを避けるため、ペットを飼う人、飼わない人の相互理解が重要になる。(川原田秀樹)

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