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癒やしの桜(3月20日)

 郡山市逢瀬町を流れる逢瀬川沿いに桜並木がある。20年ほど前に植えられたソメイヨシノに加え、若い木々が育つ。地元有志でつくる「逢瀬さくらの里」が3年前に植えた新品種の桜だ。
 きっかけは震災と原発事故だった。当時、住民の誰しもが不安で、ふさぎ込んでいた。そんな中、心を温めてくれたのが、柔らかな陽光を浴びて咲き誇る桜だった。近くの逢瀬公園で催された桜を楽しむ集いには原発事故の避難者の姿もあったという。「桜には人を元気にする、やさしい力があると確信した」。会の代表は振り返る。
 桜並木をさらにつなげ、町全体を桜の里にしよう-。会は新たに植える桜として8品種を選んだ。誕生して間もない「マイヒメ」、ソメイヨシノと同じ時期に咲く「ジンダイアケボノ」、春と秋の二季咲きの「アーコレード」…。約150本の苗木を川沿いや公園、学校などに植えた。まだ背丈は低いが、初々しい花を付ける。何より、違う種類の桜が楽しめるのがいい。
 「3・11」から8度目の春が巡ってきた。会は、植えた場所が分かるパンフレットをこしらえた。桜巡りができるようにとの計らいだ。癒やしの桜が開花の時を待つ。

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