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林業再生の「鍵」に いのちの森をつなぐ-福島と森林-

 南会津町針生の製材業・芳賀沼製作にスギ材が積まれている。切り口に付いた緑色の塗料が目を引く。一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC)から認証を受けた山林から切り出された証しだ。
 南会津町は町面積の9割に当たる8万1000ヘクタールが森林だ。町の森林の価値を高めようと、優れた山林環境などを認定する「森林認証」を生かした取り組みが活発化している。
 中心となっているのは20の林業事業者らでつくるNPO法人みなみあいづ森林ネットワーク。加入する製材業者が認証を受けたスギ材を東京五輪関連施設の材料として納入するなど成果が出始めている。事務局長の松沢瞬さん(30)は「認証材の活用を促せば、消費者の意識が高まり環境保全にもつながる」と好循環を期待する。

 町はかつて全国有数の林産地として知られ、多くの人が林業に携わっていた。だが、外国産材の流入などで業界全体の売り上げは落ち込んだ。町内では最盛期に70社を超えた林業事業者は3分の1以下となり、間伐など管理が行き届かない森林の増加も懸念される。
 林業で再び南会津を元気にしたい-。松沢さんらが着目したのが森林認証だった。海外では五輪の競技会場や選手村などで認証材が積極的に活用されている。町が2014(平成26)年にSGECから町有林の一部に当たる477ヘクタールを対象に認証を取得したのとほぼ同時期に、NPOを発足させた。2015年には認証森林を拡大するため、NPOが林野庁から認証材の利活用推進モデル地区の指定を受けた。
 松沢さんは「地域一体となった取り組みの成果が出始めている」と手応えを感じている。NPOに加入している製材や建築などの業者はSGECから認証材を取り扱う認定を受け、おもちゃや家具などさまざまな製品を製造する。町も認証材を含む町内産材を使った住宅に対する独自の補助制度を設けた。町とNPOなどによると、町内では県内最大規模の約1万ヘクタールが認証される見通しだという。

 ただ、地元産材の大幅な消費拡大には至っていない。国内では今のところ森林認証の認知度は低く、建材としての活用も浸透しきっていないのが原因の一つだ。町内の林業関係者は「国や県が認証材利用を促す仕組みをつくるべきだ」と求める。
 6月9日に、いわき市で開かれる全国林業後継者大会や翌10日に南相馬市原町区で開かれる全国植樹祭は、森林認証の取り組みを発信しながら関係者のネットワークを広げる絶好の機会と捉えている。「林業の振興に特効薬はない。森林認証を手段の一つとして関係者が工夫を重ねる必要がある」。松沢さんらの挑戦は続く。

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認証材を生かした地域活性化の取り組みを語る松沢さん=南会津町針生地区
認証材を生かした地域活性化の取り組みを語る松沢さん=南会津町針生地区

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