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【知的財産の活用】地方創生に必要だ(6月6日)

 特許や商標などの知的財産(知財)を事業拡大に生かす企業の動きは本県でも力強くなってきた。地方からの人口流出に歯止めをかけるためにも産業育成は欠かせない。政府は地方の就業者・起業家増を柱に据えた施策作りに着手する。知財を活用した本県ならではの産業づくりを、地方創生の突破口としたい。
 県は新製品開発を手助けしたり、特許や商標の出願を支援したりする事業に取り組む。郡山市は日本弁理士会と協定を結び、市内企業に知財活用を働き掛けている。本県は大手企業の関連企業が多く、優れた技術の蓄積がある一方、独自の商品開発はいま一歩とされる。逆に言えば「伸び代」があり、知財活用の余地は大きいということだ。
 ただ、中小企業にとって知財活用の壁は厚い。自分の技術や手法の何に着目し、どう活用すればよいか専門家のアドバイスがないと分かりにくいからだ。特許庁が6日に郡山市中央公民館で主催する「知財金融セミナー in 福島」は参考になろう。知財と事業展開の関係、金融支援の先進事例などを知る好機だ。
 知財活用と並んでビジネスマッチングも産業振興には重要だ。異業種や離れた地域の企業との交流は新しい発想や商品開発の起爆剤となる。7月4日に郡山市の郡山ビューホテルアネックスで催される「ふくしま産業賞 産業振興特別シンポジウム」に足を運んでもらいたい。
 福島民報社が主催するふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)の過去3回の受賞企業代表、選考委員長を務める旭化成相談役の蛭田史郎氏(いわき市出身)らが登場する。受賞企業は酒造業や製薬業などさまざまな業種にまたがる。事業の展開や承継に関して示唆に富む話を聞けるに違いない。
 地方の産業育成を人口減少対策に位置付ける方針を政府は固めた。2020年に地方と東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の各都県)の転入・転出を均衡させる目標を掲げたが、2017(平成29)年は約12万人の転入超過となり達成は困難だ。2019年度から6年間で地方の就業者や起業家を約30万人増やす目標を設ける。中小企業施策の拡充が想定される。動向に目を凝らす必要がある。
 若者の地元定着はもちろんIターン、Uターンを促すには、優れた中小企業に働き手を誘導し、起業の機会を増やさなければならない。活力に満ちた県土をつくるためにも、本県は知財を活用した産業づくりに、なお一層力を入れていくべきだ。(鞍田炎)

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