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図書館の匂い(6月13日)

 喜多方市立図書館で6月末、若い世代に活字に親しんでもらう催しが始まる。「たなばたフェスタ」と銘打つ。絵本作りや折り紙教室、映画上映会を繰り広げる。
 図書館は1972(昭和47)年、現在地に開館した。年平均3万人ほどの利用者があった。最近は活字離れが影響し減りつつある。女性ばかりのスタッフ8人は危機感を募らせた。蔵書12万冊ほどの小さな図書館だが、次々と新たな試みを生み出す。読むだけではなく、体験できる図書館を目指した。細やかなサービスにも知恵を絞る。生後4カ月児には絵本を贈り、喜ばれる。
 ある宴席で、奮闘ぶりが話題になった。50代を超える参加者が、若い頃の図書館談議に花を咲かせた。ネットやスマホがない時代を過ごした世代が多い。古き良き時代の思い出は大いに盛り上がる。「図書館には何ともいえない安心できる独特の匂いがあった」。
 流行を感じ、社会を知り、生き方を学ぶ…。その最大の情報源だった本に対する感謝は尽きない。紙に染みこんだインクの匂いは、多感な時期の真っ白なページに人生観を刻んだ。今の子どもたちにも、同じ匂いを感じてほしい-。大人たちはそう願う。

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