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【W杯サッカー】子どもたちに夢を(6月14日)

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会は14日(日本時間15日)に始まる。7月15日(同7月16日)までの1カ月間に64試合が行われる。長い予選を勝ち抜いた32チームは世界中のファン、特に子どもたちが夢を持てるようなプレーを見せてほしい。
 世界の名だたる選手が国の名誉をかけてしのぎを削る。無名の若手が一躍スターになることもある。4年に1度の舞台に立つ喜びと重圧、ファンの声援、代表に選ばれなかった仲間の無念さ…。選手はさまざまな思いを胸に抱き、持っている力を出し切ろうと集中する。勝負の行方にとどまらず、興味は尽きない。
 日本代表は突然の監督交代があり、不透明感が漂っていた。12日に行われたパラグアイとの強化試合は4-2で勝ち、ようやく光が見えた。期待と不安が入り交じる国民の声を受け止め、ひたむきに戦術を磨く西野朗監督と選手の挑戦に注目する。
 日本代表の食事は南相馬市小高区出身で広野町在住のシェフ西芳照さんが作る。県産の米やみそ、漬物などを使った和食中心の献立が選手を支える。大熊町出身のスプリントコーチ秋本真吾さんは主力選手に適切な走り方を指導してきた。本県関係者のサポートが実を結ぶと信じる。
 県内では、福島ユナイテッドFCが今季J3の17チーム中6位につけている。いわきFCは東北社会人サッカーリーグ2部南で開幕5連勝を飾った。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で休業中のJヴィレッジ(楢葉・広野町)は7月28日に一部再開する。郡山市熱海フットボールセンターは5月にオープンした。福島市は16沼公園サッカー場の増設を進め、さらにサッカースタジアムを市内に造る検討に入った。
 地域によっては小中学生チームが活動を休止し、子どもたちの受け皿がないという課題を抱える。少子化や指導者不足とともに、原発事故による避難や屋外スポーツの敬遠が影響したケースもある。W杯を見て選手を志す子どもは多い。チームや競技団体などには、指導を受けられる場の情報を積極的に発信する姿勢が求められる。
 Jヴィレッジのスクールで育った、いわき市出身の高萩洋次郎選手(FC東京)はW杯ロシア大会の予選で代表に選出された。来年の女子W杯に出場する「なでしこジャパン」は福島市出身の高倉麻子監督が率いる。本県の子どもが夢をかなえ、いつか最高の舞台に立つことを楽しみにしたい。(渡部育夫)

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