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「万引き家族」と虐待(6月14日)

 是枝[これえだ]裕和監督の「万引き家族」が県内でも封切られた。カンヌ国際映画祭で、日本作品として21年ぶりの最高賞「パルムドール」を受賞した。話題作とあってか、郡山市の映画館には初日から行列ができた。
 一人身の老人宅で暮らす家族を描く。家族といっても全員、血はつながっていない。ある冬の日、親に虐待されて外で震えていた5歳の少女を、ふびんに思った同居人が連れて帰る。体には暴力を受けてできたあざが複数あった。少女は結局、この家族と一緒に暮らす道を選ぶ。よほど親が怖く、愛情に飢えていたのだろう。
 虐待で5歳の女の子の命が奪われた。東京都目黒区で起きた保護責任者遺棄致死容疑事件は、十分な食事を与えられず、病院にも連れて行ってもらえなかった。「ゆるしてください おねがいします」。親に向けてつづった謝罪の文章を見ると、胸が締め付けられる。映画よりも残酷すぎる。
 子どもは親を選べない。もしできるとすれば、虐待する人と、愛情を注いでくれる人のどちらに向かうだろうか。映画で少女をかわいがっていた家族の一人がつぶやく。「産んだらみんな母親になるの?」。親子のありようを問い掛けている。

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