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巣立ちの季節(6月18日)

 どこか動きがぎこちない。電線で羽を休めていてもフラフラとぐらつき、危なっかしい。飛び立つ時も羽を数回ばたつかせた後、意を決したように宙に出る。どうやら巣立ったばかりらしい。生まれたばかりのツバメが一本立ちする季節が、県内に巡ってきた。
 福島市の繁華街から北に延びる飯坂街道は、さながら「ツバメ街道」と化す。文字通りのツバメ返しを決め、見事に羽虫を捕らえたかと思えば、深追いして行き交う車とあやうく衝突しそうになる慌てん坊もいる。そばにたたずむ親鳥もさぞ不安だろう。
 近年は街の中で成長するひなの数が減っている。日本野鳥の会によると、2013(平成25)年から3年間の全国調査で都会とその周辺で1つの巣から育つひなの数を比べると、都会の方がわずかに少なかった。人間の生活習慣や住環境の変化が影響を与えている。
 農家には害虫を食べる益鳥として重宝され、巣を掛ける家には幸福をもたらす使者として古くから愛されてきた。少々のフン害も温かな視線で見守ってあげたい。人とて同じ。この春、新たな世界に飛び出した若者の少しぐらいの失敗は大目に見たい。いずれ、羽ばたきは大きくなる。

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