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格闘技の奥義(6月22日)

 「世紀の一戦」とうたわれた異種格闘技戦がある。42年前の6月、プロレスラーのアントニオ猪木さんとボクシングの故モハメド・アリさんが戦った。往年のファンなら誰もが覚えている。
 梅雨の日本列島は試合前から軽い興奮に包まれ、県内でテレビ中継された。しかし、ゴングが鳴るや拍子抜けした展開が続く。強烈なパンチを警戒したのか。猪木さんはマットに寝転び、なかなか立って試合を進めようとしない。決定打は出ず、3分15ラウンドは引き分けに終わった。
 この勝負、猪木さんの勝ちだったという見方がある。第6ラウンド、寝技に持ち込み、アリさんの顔面に肘打ちを放った。テレビのインタビューで「もうちょっと(肘が)入っていたら終わり。優しかった」と振り返る。相手を完璧に打ちのめさずとも、自分はその力を秘めていると示す。それが格闘技の奥義だと教えているようにも見えた。
 一方、アリさんは対決から8年後、こう語った。「リスクを冒す勇気のない者は人生で何も成し遂げられない」。長い勝負人生で得た教訓だ。2人がリングに上った6月26日は2年前、一戦から40年を機に「世界格闘技の日」となった。

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