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【福島競馬場100年】地域振興へ一層支援を(7月7日)

 福島市の日本中央競馬会(JRA)福島競馬場は開設百周年を迎えた。一年で最も盛り上がる夏競馬が開催されている。競馬場を誘致した先人には、国内有数の馬産地だった本県を競馬の力で活性化させたいとの思いがあった。次の百年に向け、JRAはより一層、地域振興に尽くすべきだ。
 東京電力福島第一原発事故の影響は大きく、県内は農林水産業、観光などさまざまな分野で風評被害が続いている。福島競馬場には、年間を通じて一日当たり平均約四千四百人から約一万三千人が訪れている。大きな集客力を誇る県内有数の施設だ。物販やイベントを開催する十分なスペースがある。これまでも、県内の食をPRするイベントが開かれてきた。今後はさらに、風評払拭[ふっしょく]につなげるため規模の大きな催しを定期的に開くよう提案する。「野菜・果物」「水産物」「六次化商品」「地酒」「伝統工芸」など週替わりで出展を受け付け、県内外から集まるファンに福島の魅力と安全を広めてほしい。
 JRA競馬場は札幌市、北海道函館市、新潟市、千葉県船橋市、東京都府中市、愛知県豊明市、京都市、兵庫県宝塚市、北九州市にある。「福島フェア」も開催してもらいたい。運営・費用を全てJRAに任せず、福島県、出展企業を抱える関係市町村と協力体制を築く必要がある。
 より多くの来場者があれば、地元経済に対する波及効果も大きくなる。そのためには、レースの充実が何より大事だ。福島競馬場で現在行われているレースで最も格上なのは、上から三番目のG3にとどまる。G1、G2は有力馬が集まり、より多くの集客が期待できる。実施についてJRAは「競走体系や出走馬のレベルなどから難しい」と説明している。しかし、ファンから強い要望があることも踏まえ、検討すべきだ。
 毎年夏の札幌競馬場で行われ、人気を集める外国の一流騎手招待レースを福島で、ぜひ実施してほしい。騎手の家族も県内に宿泊し、観光を楽しんでもらう。どんな分野であれ、一流と呼ばれる人たちには発信力がある。各国の関係者に「福島は安全」の認識が広がる。
 馬の目の優しさと肌のぬくもりは人を和ませ、子どもの情操教育に適している。競馬場の存在は馬術の競技会開催や競技力向上に大きな力となる。福島競馬が長く続くため、JRAには地域の人に寄り添い、課題の解決に親身に取り組む姿勢が何より必要になる。競馬が栄えてほしいと切に願う。(菅野龍太)

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