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【様変わりする大雨】総合的な対策を急げ(7月10日)

 西日本豪雨の被害は広い範囲に及び、警察、消防、自衛隊などによる救命や救助、捜索が続く。亡くなった人は百人を超え、安否不明者は約八十人に上る。
 原因は、梅雨前線が停滞し、これまでに例がないほど大量の水蒸気を含む空気が流れ込んだためとみられる。地球温暖化が理由とされる気候変動によって、雨の降り方と降る量が様変わりしてきたと感じられる。
 昨年十一月に福島市で開かれた福島地方気象台主催の防災気象講演会は「局地化、集中化、激甚化する大雨から身を守る」を掲げた。毎年のように各地で深刻な被害をもたらす強い雨への総合的な対策を急ぐ必要がある。
 県によると、土石流や地すべりといった土砂災害対策は国土交通省、林野庁、農水省農村振興局の所管ごとに役割を分担する。
 県の部局は土木部と農林水産部が主に受け持つ。国土交通省所管の土砂災害危険箇所は県内に八千六百八十九カ所あり、県のホームページの地図で見ることができる。また、県は民有林の山地災害危険地区の五千六百六十六地区を、国も国有林分をそれぞれのホームページに掲載している。農地関係は法律で指定された地すべり防止区域の四十一と、地すべり危険箇所の四十五の合わせて八十六カ所がある。県の農林事務所によってはホームページで指定区域の一覧表を示している。
 県や国は浸水想定区域の見直しなどによる河川の洪水対策も強化している。日頃の備えには市町村ごとにまとめるハザードマップ(防災マップ)が欠かせない。住民の自主的な避難に必要な情報(被害の予想範囲や程度、危険箇所、避難の場所や経路など)を地図に書き入れている。
 マップを参考に、河川の氾濫や土砂崩れが心配される場所が身近にないかどうかを、県民一人一人が普段から確かめてほしい。
 県がまとめた県内の主要災害の資料によると、二〇〇八(平成二十)年から二〇一六年までに起きた約五十件のうち、七割が大雨、洪水、台風に関わっている。最近の被害や最新の研究をマップの改定に生かすとともに、インターネットを使えない高齢者や、体の不自由な人に分かりやすく伝える工夫が大切だ。
 県内から西日本の被災地に向けて支援物資を送る取り組みが始まった。本県は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴い、全国各地から助けを受け続けている。官民そろって恩返しに努める機会といえよう。(安田信二)

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