県内ニュース

主要

  • Check

Jヴィレッジ再始動 予想超す宿泊予約

 楢葉、広野両町にまたがる国内初のサッカーナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から七年四カ月余りの休業を経て二十八日、一部再開する。砂利や鉄板に覆われていたピッチに青々とした芝生が戻った。「いよいよだ」。詰めの準備に立ち回る職員の表情には高揚と緊張感が入り交じる。

 敷地内でひときわ目を引くのはセンター棟わきにそびえる新宿泊棟だ。一部八階建ての建物にシングルルームを中心に百十七室と最大約三百人収容のコンベンションホール、展望大浴場などを備える。新生・Jヴィレッジの目玉の一つとして整備された。既存の宿泊棟と合わせ、八月末までの宿泊予約者数は関東圏など県外も含めて延べ約七千人と、震災前年の二〇一〇(平成二十二)年八月の実績値約五千四百人を上回る。九月以降も週末を中心に引き合いがある。運営会社「Jヴィレッジ」副社長の上田栄治(64)は「予想以上の反響だ」と手応えを口にする。
 再開に向けて幸先の良い出来事が続いた。五千人収容のメインスタジアムの復旧が一部再開に間に合った。新宿泊棟と並ぶ目玉の屋根付き全天候型練習場の完成は当初の来年四月から今年秋に早まった。
 サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会では、日本代表が二大会ぶりに一次リーグを突破した。決勝トーナメント一回戦でベルギーに敗れて八強を逃したが、スタッフは「世間の関心がサッカーに集まっている。企業回りなど営業活動にもプラスになる」と期待する。

 施設は福島第一原発から約二十キロ南に立地し、原発事故後は収束作業の拠点となった。国内外に今も残る風評がどの程度、集客に影響するか現時点では見通せない。
 施設内の空間放射線量は毎時〇・〇八五~〇・一二六マイクロシーベルトで県外各地の水準とほぼ変わらない。ホームページに各地の線量と一緒に載せて安全性をアピールしているものの、都内のある高校のサッカー部が一部保護者の反対を受けて合宿予約をキャンセルした。仮に第一原発の廃炉作業で何らかのトラブルが起きれば積み上げてきた信頼が揺らぐ可能性もある。
 上田は「サッカーW杯をはじめ、このところの『追い風』をどうやって維持していくかが課題だ」と気を引き締める。

 Jヴィレッジは一九九七年七月の開所から十八日で二十一年となる。国内サッカーの「聖地」として東電が整備した施設は現・旧避難指示区域をはじめ浜通りの「復興のシンボル」という新たな役割を担う。「第二章」を迎える施設の現在と未来を探る。(文中敬称略)

カテゴリー:主要

主要

>>一覧