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飲食店「サライ」開店 4月に富岡へ帰還した遠藤武さん

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難から四月に古里富岡町に戻った元会社員の遠藤武さん(74)は十八日、町内中央二丁目に憩いのサロン&カラオケ「ミュージック サライ」を開店する。町内に夜間営業する飲食店は少なく、十五日まで八日間行ったプレオープンは多くの人でにぎわった。「町民の憩いの場にしたい」と意気込む。
 「サクラ吹雪のサライの空へ いつか帰るその時まで夢はすてない」。名曲「サライ」のカラオケが響く店内で、プレオープンに駆け付けた昔なじみの町民との会話が弾む。「避難生活をしていた時の心情と歌の歌詞が合うんだよ」と、店名の由来を笑顔で語る。
 定年退職から八年が過ぎたころ、震災と原発事故が発生し、郡山市の仮設住宅に避難した。二〇一四(平成二十六)年には郡山市にマンションを購入し、富岡町の自宅を取り壊すと決めた。避難生活が長くなる中で、町に戻るという思いはどんどん薄れていった。
 昨年一月、解体作業が終わり、さら地になった自宅跡を確認に訪れた時、生まれ育った富岡町への思いが突然湧き起こった。「このままでいいのか。古里のためにできることがあるはず」と帰還を決意した。購入したばかりのマンションを売却し、さら地に飲食店を兼ねた自宅を建てた。
 店舗内は長年の趣味のカラオケをメインにテーブルとカウンター席合わせて二十五席を設けた。昼はお茶や音楽、読書などを楽しみに町民が気軽に立ち寄れるサロン、夜は予約制で、カラオケや軽食を通して懇親を深める場にする予定だ。
 店内には、夜の森地区の満開の桜並木を写した巨大なパネルを飾った。「桜並木は町のシンボル。大人から子どもまで町民が楽しみふれ合える場にしたい」。サライが流れる店内で古里へのあふれる愛情を決意に込めた。

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プレオープンでにぎわう店内で決意を新たにする遠藤さん
プレオープンでにぎわう店内で決意を新たにする遠藤さん

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