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【介護職員の確保】効果的な対策を確実に(7月17日)

 家族が介護施設に入所する人にとって、職員の献身的な働きには頭が下がる。介護職員の二〇二五年度の充足率を厚生労働省が推計し、本県は74・1%となった。効果的な対策を講じないと高齢者が在宅や施設での十分な介護サービスを受けられない恐れが出る。国や県、市町村は施策を確実に実行する必要がある。
 本県の充足率は都道府県の中で千葉とともに最も低い。全国平均86・2%と12ポイントの差があった。推計によると、県内で必要とされる数は四万一千六百七十五人だった。各市町村の高齢化率や現在のサービスを基に計算した。確保できる数は離職率や再就職率を踏まえて三万八百九十八人と見込む。県は東日本大震災が影響していると分析する。主に相双地方の住民が避難生活で家族による介護ができなくなり、サービス提供を求めているとみる。
 対策の一つとして、行政側は住民対象の介護予防事業を行い、サービスを受けずに済む健康的な高齢者を増やすことを目指している。介護される人が増えれば、保険料のアップにつながる可能性がある。だが、介護を望む声に応えられるように人材の確保に重点を置くべきだ。
 公益財団法人介護労働安定センターが二〇一六(平成二十八)年度に実施した調査では、県内の事業所(二百八十三カ所のうち百五十六カ所が回答)の71・1%が職員不足を感じていた。全国の62・6%を上回った。重労働や低賃金というイメージが強いことが人材不足を招いている。
 県は、県社会福祉協議会が行う離職者再就職の準備金貸し付け原資を補助したり、相双地方での不足に対応するため就労予定者に準備金を貸し付けたり、さまざまな対策を立てる。職場への定着を図るため「職員のつどい」も二〇一六年度に始めた。年一回、就職三年以内の人が集まる。福祉施設からも加わり、仕事の悩みを共有する。
 都内のNPO法人は「介護カフェ」を開く。事業所の枠を超えた参加者が職場以外の居場所をつくり、視野を広げる。県内でも同様の場を設けるべきだ。自由に意見を交換することで励みや自信となる。
 施設を運営する社会福祉法人の役員は「男性に限らず女性も活躍できる。自分の頑張りがお年寄りに伝わる」と話す。さらに、仕事のやりがいを強く訴えるべきと指摘し、経営安定のため事業者に支払われる介護報酬の一層の引き上げを国に求める。介護の現場を覆う慢性的な人手不足の解消こそが、解決への最大の手段となる。(川原田秀樹)

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