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【熱中症多発】もっと社会的対策を(7月20日)

 猛暑が続き、全国で熱中症による救急搬送が相次いでいる。日本は地球温暖化による気温上昇率が世界平均を上回っており、今後も猛暑日や熱帯夜の増加が考えられる。自分や家族を守る自己防衛策を心掛けるのはもちろんだが、「命に関わる危険」に対処するためには社会的にさらに綿密な対策が求められる段階ではないだろうか。
 人間の体は普段は発汗などで体温調節を自然に行っている。しかし高い気温や湿度、体調不良、激しい運動、水分不足などによって体のバランスが崩れて調節できなくなると熱が体内にとどまり頭痛、めまい、けいれんなどの症状が出る。これが熱中症だ。
 消防庁による速報では、今年四月三十日から七月十五日までに、全国では前年同期を約二千人上回る二万一千百六十六人が救急搬送されている。本県でも今年同期に四百九十五人が搬送された。
 愛知県では十七日、校外学習の小学一年生の男児が熱射病で亡くなった。十九日は東京都の高校体育館で講習を受けていた約七百人のうち二十五人が体調不良を訴えた。
 発熱体である人間は大勢集まるだけで暑さ環境は悪化する。団体活動では時間や環境の設定、万が一への対応について注意を払うべきだし、場合によっては中止や延期といった判断も必要になる。適切に判断するためには、学校関係者やイベントの主催者らが熱中症に関して必要な知識を学ぶ機会が必要だ。
 文部科学省の二〇一七(平成二十九)年の調査では全国の小中学校(普通・特別教室)で冷房設備を設置しているのは41・7%(本県65・1%)で、三年前の調査より10%以上増加した。設置拡大には児童・生徒の健康維持も強く考慮されるべきだろう。
 熱中症の発症は屋内が約四割を占める。特に高齢者は重症化するケースが多い。訪問介護、町内会、民生・児童委員など、行政や地域社会のさまざまな系統から冷房の適切使用、水分補給、不要な外出の自粛などを呼び掛けたい。
 都市はコンクリートの建造物やアスファルトの道路が熱を保ち、車の人工放熱などもあって熱中症の一因であるヒートアイランド現象を生じやすい。熱のこもりにくい都市構造も研究されるべきだ。
 本県も含め、日本列島の猛暑はまだ続く。環境省の熱中症予防情報サイトは熱中症のリスクを示す「暑さ指数」を提供している。気象庁の高温注意情報もある。
 こうした情報も参考にしながら自身と周囲の健康を守りたい。(佐久間順)

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