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史上最年少横綱(7月22日)

 大相撲名古屋場所は、鶴竜、白鵬、稀勢の里の三横綱全員が休場したまま千秋楽を迎える。十九年ぶりの異常な事態となり、土俵には寂しさが漂う。楽日を待たずに幕内初優勝を果たしたのは、関脇御嶽海[みたけうみ]だった。
 三人の実力者はともに三十代となった。若い横綱の登場を待ち望む人は多い。四十四年前の一九七四(昭和四十九)年七月、名古屋場所後に北の湖が二十一歳二カ月で昇進した。史上最年少記録は現在も破られていない。好敵手だった輪島と激しい戦いを繰り広げ「輪湖[りんこ]時代」を築いた。日本相撲協会理事長の職にあった三年前、六十二歳で亡くなった。
 近頃、品格を問われる出来事が多い。強さだけではない。相撲に精進する気迫、地位と社会に対する責任感、常識ある生活態度が求められる。北の湖は「憎らしいほど強い」と評された。史上二位の六十三場所にわたり最高位の座を保った。勝負に対する真摯[しんし]な姿勢は、多くの好角家[こうかくか]に愛された。
 御嶽海は二十五歳で賜杯を手にする。来場所も楽しみになる。若くて力強く品格を備えた新たな候補がさらに出てくるのか。三横綱の力に陰りが見え隠れする今こそ中堅や若手の取組がますます面白くなる。

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