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30周年の松明太鼓(7月25日)

 一九八九(平成元)年十一月十一日午前十一時十一分十一秒、太鼓の音がドーンと須賀川市役所前広場にとどろいた。その瞬間、「奥州須賀川松明[たいまつ]太鼓」が誕生した。それから三十年の月日が流れる。青年たちに受け継がれてきた。古里を象徴する響きとして、今も市民に感動を届ける。
 伝統の火祭り「松明あかし」の発祥四百年に、新たな息吹を注ぎ込もうと創設された。地元の商工会議所青年部と青年会議所がまとまり、原動力となった。震災後は存続を危ぶむ声もあった。だが、逆にメンバーが増える。「演奏で地域を元気にしたい」。郷土愛に燃える若者たちが奮起した。
 三十周年記念公演は二十二日、市内で開かれた。小学生の「小若組」、中高校生でつくる「嵐」など現役生が舞台で躍動した。歴代の面々も往年のバチさばきで魅了する。祝賀会で、設立の苦労を分かち合った友情に乾杯した。
 発足日を「一」が十一個並ぶ日時にしたのは、当日が祭り本番で、分秒まで験を担いだためだった。今年は十一月十日に催す。魂の鼓動は幾世代にもわたって愛され、技の進化とともに輝きを増した。間もなく新たな十年に入る。これからも打音を刻み続ける。

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