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土湯温泉の「骨化石」筑波大で見つかる 絶滅ほ乳類の大腿骨と判明

 昭和二十年代に福島市土湯温泉町で発見され、正体不明のまま忘れられていた骨化石が、約六十年ぶりに茨城県つくば市の筑波大で見つかった。調査の結果、骨化石は絶滅ほ乳類「パレオパラドキシア」の大腿骨(だいたいこつ)と判明した。国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループの木村由莉さん(35)らが二十六日、発表した。

 木村さんは、九州大総合研究博物館専門研究員で束柱類を専門とする松井久美子さん(29)らと検証してきた。骨化石は千六百万年前以降に生息したパレオパラドキシアのもので、東北で最も早く発見された。表面に筋肉の跡が残るなど保存状態が良く、生態解明に役立つと期待される。発見の経緯をまとめた論文がイギリスの学会紙「Royal Society Open Science」に掲載された。
 木村さんは二〇一七(平成二十九)年六月、筑波大の収蔵庫状況調査中に古い木箱に入った骨化石を発見した。木箱には「福島市土湯温泉町字館越東鴉川右岸出土」と記されたメモがあった。木村さんと松井さんは土湯温泉町で当時のことを知る住民に話を聞き、骨化石は六十五年以上前に東鴉(からす)川の砂防ダムの工事中に見つかったことが分かった。地域住民の間では「恐竜の化石だ」と話題になったという。
 発見間もない一九五四(昭和二十九)年に発生した土湯大火により、骨化石の一部や資料などが焼失した。大腿骨の化石は大火の前に東京教育大(現筑波大)に移された。
 骨の形状などからカバやジュゴンに似た姿のほ乳類パレオパラドキシアの大腿骨だと判明した。県内では伊達市梁川町で一九八四年に梁川標本が発見されているが、生態は解明されていない。水辺を歩いたり水中に潜ったりして生活していたと推測される。木村さんは「発見が十年遅れていたら聞き取り調査が困難になっていた。骨化石を詳しく分析すれば生態解明につながる可能性がある」と語った。
 骨化石は二十九日から九月二日まで会津若松市の県立博物館に展示される。

■歴史遺産を町おこしに 観光協会、PRキャラ作成

 土湯温泉の関係者は化石を地域活性化に生かそうと動き始めた。
 土湯温泉観光協会は土湯小の児童から化石を用いた活性化のアイデアを募る。化石をモチーフにしたキャラクター「土っちー(仮称)」を作成し、化石の紹介パネルやグッズなどに使用する。化石が発見されたとされる東鴉川砂防ダムでの化石掘り体験や、骨付きモモ肉入り砂防ダムカレーなどの料理提供を企画している。
 同協会の池田和也事務局長(60)は「温泉地で見つかった貴重な歴史の遺産をPRし、町おこしにつなげたい」と期待している。

カテゴリー:今日の撮れたて

福島市の土湯温泉町で発見されたパレオパラドキシアの大腿骨の化石を手にする木村さん
福島市の土湯温泉町で発見されたパレオパラドキシアの大腿骨の化石を手にする木村さん

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