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夏の夜空に(7月27日)

 天の川を挟んで彦星と織姫星は年に一度再会する。その距離は光の速さでも十五年かかり、まさに遠距離恋愛といえる。寿命が十億年の一般的な星にとっての一年間は、人生百年の人間の三秒間にすぎない。かなり頻繁に会っている計算になる。
 夏の天体ショーが続く。二十八日は皆既月食が起こる。月は午前四時半、完全に姿を消す。西の地平線に沈む直前のため、県内で観察できるのは山など見晴らしのいい場所に限られる。三十一日は火星が十五年ぶりに大接近する。今年一月に地球から三億キロも離れていた。五千七百万キロまで近寄る。
 会津若松市の日新館天文台跡で初のライトアップの準備が進む。会津藩が藩校日新館に設け、現存する国内最古の天文施設として知られる。日本天文学会が新設する日本天文遺産への登録も期待される。有志が旧暦の七夕に当たる八月十七日にLEDキャンドルを飾る。
 天文台跡から空を見上げると、既に火星が存在感を増す。赤い光が心を照らす。この惑星と木星の間を回る小惑星が先日、会津学鳳高にちなみ「Gakuho」と名付けられた。肉眼では見えないが、ロマンに満ちた星空と市民の距離がまた縮まった。

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