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【県外最終処分】期限まで27年切る(7月30日)

 東京電力福島第一原発事故に伴う県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設への搬入量は四日現在で百万立方メートルに達した。大熊町が二十三日、町有地の提供を決めるなど中間貯蔵関連の事業は進展を見せている。気掛かりなのは、国の責務となる県外への最終処分の行方だ。
 中間貯蔵・環境安全事業株式会社法は「中間貯蔵開始後三十年以内に完了する」と定めている。中間貯蔵施設への搬入が始まった二〇一五(平成二十七)年三月を起点にすると、二十七年を切っている。残り時間を常に意識し、検討を急ぐよう求めたい。
 国は再生利用により廃棄物の量を減らした上で最終処分する方針だ。工程表では、二〇一五年度から二〇二四年度までの十年間で技術を確立し、最終処分場の構造や面積などの検討も進める。国民的な理解を得る対話・参加型の活動も展開するとしている。
 専門家による検討会が減容・再生利用の技術開発に取り組む。ただ、実証試験は南相馬市で予定通り実施している一方で、住民の反対により計画が止まったままの地域もある。最終処分場の在り方を含め工程表に掲げた他の事業も総じて入り口段階にある。
 二〇二五年度以降の二十年間はさらに難しい局面が続く。最終処分方式の具体化、中間貯蔵施設からの搬出方法、最終処分地の調査、関係自治体などとの調整を経て最終処分地を決定し、整備、搬入に取り掛かる。その後、二〇四四年度に最終処分を完了するとしているが、最終処分地の決定が最難関となる。
 中間貯蔵施設を巡っては、国が二〇一一年十月に基本方針を示し、県が調査受け入れを表明するまで一年かかった。さらに、地元説明会などを重ねた末に大熊、双葉両町が最終的に建設を受け入れるまで二年を要した。県内全ての除染廃棄物の搬入完了は二〇二一年度末となる。基本方針の策定から搬入を終えるまで十年余りかかる計算だ。
 まして県外への最終処分となれば、中間貯蔵の比ではない。建設地の決定から地元合意を得る作業に相当な期間を要すると想定しなければなるまい。県境をまたぐ輸送経路の沿線自治体、住民の理解をどう得るかの課題もある。
 原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡っては、科学的見地から候補地となり得る場所を日本地図に示し、住民説明会で理解を得ようとしている。しかし、見通しは何一つ立っていない。二の舞にならないよう、国民の関心を高める活動を今から始めるべきだ。(五十嵐稔)

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