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【山木屋地区の復興】細やかな支援を手厚く(8月3日)

 川俣町山木屋地区は東京電力福島第一原発事故に伴う居住制限、避難指示解除準備の両区域が解除され、一年四カ月が過ぎた。復興拠点商業施設の「とんやの郷[さと]」は開所から一年一カ月がたつ。営農を再開した住民もいる。復興に向けて努力を重ねる人々に対し、国や県、町の支援をより強化するべきだ。
 とんやの郷は、町が経済産業省の補助金を活用し、建設した。食堂で特産品の川俣シャモを使った料理を提供する。売店で食料品や日用品を扱う。七月中旬まで食堂は約一万九千五百人、売店は約六万一千五百人、合わせて約八万一千人が利用した。川俣の味覚を楽しめるだけに、町外の人も大いに利用して復興を後押ししてほしい。
 立地するのは一一四号国道沿いで、六十一台分の駐車場とトイレを備える。川俣町中心部から浪江町中心部まで約五十キロの間に、気軽に二十四時間利用できるトイレは他にないという。国土交通省の「道の駅」登録を目指し、町には施設の一層の充実を求めたい。知名度が上がり、さらなる利用者増につながる。
 原発事故が起きる前まで水田は百四十九ヘクタールあったが、今年は五戸の農家が一五・四ヘクタールで米作りに取り組む。トルコギキョウは原発事故前からの八戸全て、小菊は十三戸のうち三戸が栽培を始めた。飼料作物となる牧草やデントコーンの栽培を新たにスタートさせた農事組合法人もある。農林水産省と県は原子力被災十二市町村農業者支援事業を通して、農業用機械の導入や施設の整備を助成する。軌道に乗るまでは、さまざまな形での支援が大切になる。
 六十五事業所のうち二カ所は避難しないで事業を続け、九カ所は避難解除後に再開した。
 八月一日現在、原発事故当時からの避難者名簿登録千百十七人のうち三百六人が戻った。町のホームページに数字が載り、計算すると約27%になる。戻った人の約60%は六十五歳以上だ。
 復興庁と県、町は今年一月、住民の意向を調べた。五百二十世帯が対象で、約56%に当たる二百九十三世帯が回答した。戻った住民、戻りたいと考えている住民ともに、医療・介護福祉施設の再開や新設、営農・事業再開への継続的支援を必要とする回答が多かった。四月に一貫校として再出発した山木屋小・中の児童生徒十五人は、全員が避難先から通う。子どもを含む若い世代の帰還をいかに進めるかが、課題になる。
 実情に合った細やかな対策が必要だ。(川原田 秀樹)

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