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【ロボット研究拠点】利活用に地元の知恵を(8月4日)

 南相馬市と浪江町に整備中の研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」で、最初の公開実証試験が九日に行われる。新エネルギー・産業技術総合開発機構が小型無人機「ドローン」の運航管理試験に臨む。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の核と位置付けられる施設での実験となる。最大の目的である本県の再生復興につなげるため、初試験を機に、教育などの幅広い利用や県民に知ってもらう方法を考えるべきだ。
 南相馬市の約五十ヘクタールの敷地には二〇二〇年三月までに、陸、海、空のそれぞれの使用環境で実験できる十五施設が建設される。世界に類を見ない一大研究開発拠点となる。現在建設中だが、少しでも早く有効活用するため、各施設の完成ごとに順次、利用開始となる。七月二十日に最初に開所したのが二基の通信塔で、ドローンの安全な飛行を支える試験を行う。初の試験は物流、災害調査、点検で、目的が違うドローンが同時に飛行した場合、安全・安心に飛び交うかどうかの管理システムを研究する。
 南相馬市は二〇一六(平成二十八)年四月、ロボットテストフィールドの設置場所として選ばれた。「ロボットのまち南相馬」を目指して昨年、新たな構想を作った。地元商工業者を巻き込み、工業団地の造成などで企業を誘致し、直接的な産業創出につなげる努力を続けている。
 一方で、「革新」と「沿岸」などの意味を持つ言葉を組み合わせた「イノベーション・コースト」をはじめ分かりにくい横文字が多い。なかなか具体的な形や効果が見えてこない―などの状況に「本当に復興につながるのか」と疑問視する声も上がり始めている。
 実際は、二〇一五年四月以降から今年二月までの三年間に、南相馬市を中心に行われた実証試験は五十一件に上り、参加企業は延べ百二十四社を数えている。実験関連で市を訪れた関係者は二〇一五年度は約三百人だったが、昨年度は約四千人を超えた。市の調べで十三倍になっている。市民に実態が見えにくいのは、実験には製品開発上の企業秘密の部分が多く、全てが公開されていないことが一因といわれる。
 南相馬市は一日、市内ほぼ全ての小中学校の社会科教諭を集め、進行中の構想と計画の講習会を開いた。教師が理解し地元の子どもたちが興味を持てば、未来に続くふるさと再興につながる。地元を挙げて施設利活用の新たな方策について知恵を絞る必要がある。(関根英樹)

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