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福島が誇る盆栽文化(8月4日)

 福島市の吾妻山は那須、四国とともに五葉松の日本三大産地と呼ばれる。多彩な樹形の木が育ち、年月とともに表情を変える。盆栽を生業[なりわい]とする人は山で採った種から苗木を育てる。自然の姿を表現する作品が見る者を癒やす。
 「ぼんさいや あべ」は市内で最も古く、創業九十年を誇る。初代の故阿部倉吉さんは山の樹木に学び、「空間有美」の作風をつくり上げた。枝の伸び方、幹との間隔をみやびやかに見せた。倉吉さんの著書「五葉松盆栽の作り方」(山海堂刊)は数カ国語に訳され、海外の愛好家の教科書となった。
 二代目の健一さん、三代目の大樹さんが受け継ぐ。倉吉さんの著書を読んだ人が、教えを請うため毎年のように欧州からやって来る。二人の繊細な技に感動して帰る。海外での人気の陰には、親子三代にわたる取り組みがあった。
 福島市観光コンベンション協会は昨年、自生地と盆栽作りを見学する旅を初めて企画した。今年は六月に続き十月にもある。会員制交流サイト(SNS)で参加を呼び掛ける。「国内外の多くの人に魅力を伝えたい」。大樹さんが案内役を務める。豊かな自然と奥深い盆栽文化を知ってもらう絶好の機会になる。

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