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【県警本部の新庁舎】体感治安を高める要に(8月6日)

 県警本部が県庁北東側の新庁舎で業務を開始してから約一カ月が経過した。犯罪摘発や未然防止、交通事故抑止などで警察に寄せられる期待は高まる。県庁の本庁舎や東分庁舎など八カ所に分散していた機能を集約した。十分な連携で業務の効果的な推進に役立てる必要がある。
 当初、新庁舎の敷地が積雪時の吾妻山噴火で泥流に覆われるとの試算があり、敷地を約五十センチかさ上げした。大規模災害発生時の危機管理の拠点としても大きな役割が求められる。
 総合指揮室は今春から先行して業務を始め、大型マルチビジョンを備えた災害時オペレーションシステムを導入した。ヘリコプターによる空撮の中継映像を従来よりも鮮明な大型画面で確認できるようになった。状況を俯瞰[ふかん]して把握することにより、迅速で的確な対応につなげる。
 五月にいわき市で催された太平洋・島サミットの警備で初めて使用し、使い方を確かめた。その上で、天皇、皇后両陛下のご臨席で六月に南相馬市で開催された全国植樹祭でも活用し、万全の警衛態勢を敷くことができた。県警の総合力が試されただけに、県民のさらなる信頼を得たに違いない。
 二年後には東京五輪・パラリンピックが開催される。聖火リレーは本県出発となり、福島市で野球・ソフトボールの一部試合がある。雑踏警備や交通対策を練らねばならない。六月二十三日に県営あづま球場で開かれたソフトボールの国際親善試合では、球場近くで渋滞が発生した。複数の試合が開催される可能性があり、入念な対策が大切だ。
 昨年春に一部の避難指示が解除された浪江町や富岡町などでは、夜になると家屋の明かりはほとんどない。多くの帰還者が指摘するのは体感治安の悪さだ。本部と各署が連携し、パトカーによる一層の巡回強化を含む不安解消策を考えていくべきだ。
 独立した庁舎は県警の長年の懸案だった。最新の多機能設備を備えた本部庁舎は現場の警察官の士気を高める。今年に入り県警は会津美里町といわき市で発生した殺人容疑事件で捜査本部を設置した。凶悪事件の解決は犯罪抑止には欠かせない。県警本部には捜査員の奮起を支える体制づくりを望む。
 松本裕之本部長は新庁舎での訓示で「存在感を十分に示すことができるように、目に見える成果を出してほしい」と強調した。事件・事故は昼夜を問わずに起きる。現場の対応力を磨いてこそ「成果」と言えよう。(浦山 文夫)

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