あぶくま抄・論説

あぶくま抄

  • Check

経験が通用しない(8月8日)

 県内は数日前までの猛暑がうそのように涼しい。寝苦しさを感じない。「ぐっすり眠れた」が朝のあいさつ代わりになった。真夏の太陽が分厚い雲に隠れ、久しぶりに雨が降る。干上がりそうだった田畑や木々も潤いを取り戻す。
 だが、手放しで喜べない。台風13号が太平洋から関東地方を通って、県内に迫る恐れが出てきた。気象庁は大雨、暴風、高波、高潮、土砂災害に注意するよう呼び掛ける。動きが遅く、雨や風が長く続くとみられる。夏休みの旅行を予定する人は、気に掛かる。
 「これまでの経験が通用しない」。この夏、気象庁は何度も強調した。西日本豪雨は発生から一カ月がたった。およそ二百二十人の犠牲者を出し、七日現在で約三千四百人が避難生活を強いられる。七月末の台風12号は西日本を東から西に横断した。統計史上、初めての進路を取り、二十人ほどがけがをした。いずれも天気予報で経験の言葉とともに再三にわたり警戒を訴えた。
 油断は禁物だ。気候に関する注意報や警報を気に留めよう。市町村は状況に応じ避難勧告や避難指示を出す。ためらいなく避難する勇気と、互いに声を掛け、助け合う思いやりの心が命を守る。

カテゴリー:あぶくま抄

あぶくま抄

>>一覧