あぶくま抄・論説

あぶくま抄

  • Check

天冠埴輪(8月16日)

 いわき市考古資料館は夏休みのお出掛け先として人気を呼ぶ。市内では二百基を超える前方後円墳や円墳、約九十カ所の横穴墓群が見つかった。出土した遺物が子どもの探求心をかき立てる。
 千五百年ほど前に作られた「埴輪[はにわ]男子胡坐[こざ]像(天冠[てんかん]埴輪)」が展示室の中央に陣取る。一九四八(昭和二十三)年、磐城高の生徒が掘り出した。高さ九十センチほどの精巧な複製品で、国指定重要文化財の実物は学校に保管されている。頬紅[ほおべに]を付けた端正な顔立ちからは、亡き首長に拝礼する若き後継者の緊張感が伝わる。額に掛かる「まびさし」が美しい。
 そっくりの縫いぐるみが今月、登場した。発見をきっかけにできた史学部の後輩と、県産スギの間伐材で高級割り箸を製造する磐城高箸が共同で作った。綿の代わりに、箸を作る際に出る、おが粉を詰める。古墳と木の粉をかけ「木粉[こふん]さま」と名付けた。新たなキャラクターに育てようと意気込む。
 資料館は十八日、土偶や勾玉[まがたま]作りを体験できる催しを開く。古里の歴史を感じてみよう。縫いぐるみは枕元に置くとスギの成分で寝付きが良くなるという。その夜、どんな夢が見られるか。きっと太古の世界が広がる。

カテゴリー:あぶくま抄

あぶくま抄

>>一覧