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【ラグビーW杯】県民の関わりに注目(8月17日)

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が来年九月二十日から十一月二日まで開かれる。県内で試合は行われないが、出場二十カ国のうちアルゼンチンがJヴィレッジ(楢葉・広野町)、サモアがいわき市でのキャンプを想定している。東日本大震災からの復興ぶりを世界に示すとともに、競技への関心を高める絶好の機会だ。地元や関係者に限らず、県民挙げての盛り上げを期待する。
 ラグビーW杯は四年に一度、前回の成績で出場権を得た国と予選を勝ち抜いた国が世界一を懸け競う。欧州や南半球の伝統国が強いものの、前回のイングランド大会で日本が優勝候補の南アフリカを破った快挙は記憶に残る。
 日本大会のビジョンは「絆 協創 そして前へ」だ。日本と世界の人々を強い絆で結び、関係者やファンらと一緒に誰も経験したことのないような素晴らしい大会を創り、すべての人の輝く未来に向かって進もうという。主催者は岩手県釜石市など十二の開催地に加え、キャンプ地とも連携を図って成功を目指す。
 開催地以上に、準備や選手の体調管理に影響するキャンプ地の役割は重要になる。前回まで三回連続出場した郡山市出身の大野均選手(東芝)は、本県がアルゼンチンのキャンプ地に内定した際「福島の食や環境の魅力、人の温かさで、選手が百%のコンディションで臨めるよう後押しを」と語った。大会前の利用を考えれば一年もない。本県らしいもてなしと万全な受け入れ態勢づくりが必要だ。
 日本では野球やサッカーに比べ、ラグビーへの関心は低い。他の競技より多い一チーム十五人で戦うため、仲間集めやルールの理解などが若干難しいらしい。ただ、楕円[だえん]形のボールを一人一人が役割を果たしてつなぎ、体を張って全力で守るプレーに、選手はもちろん観戦する人も魅了されるという。
 県内の関係者はW杯を機に競技の理解が進み、楽しむ人々が増えるのを望んでいる。昨年十二月に前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏を招いた指導会や、今年七月に大野選手が古里で講師を務めた教室は、参加した子どもらの向上心を高めた。今後も同様の機会を設け、W杯出場の夢を描く選手が育まれる環境を整えてほしい。
 二年後の東京五輪・パラリンピックで、野球・ソフトボール競技の一部が福島市で行われる。多くの県民が相次ぐスポーツの祭典に関わりを持ち、元気に行動すれば、本県の復興ぶりをより印象付けられるはずだ。(浅倉哲也)

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