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栽培再開の小麦で乾麺 川内の秋元さん、やない製麺(福島)協力

 川内村上川内の水道設備業、秋元正行さん(67)は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、村内で再開した小麦栽培を軌道に乗せた。「村特産の乾麺として売り出したい」との熱意に福島市の「やない製麺」が応え、貴重な手延べ製法で細麺を完成させた。さらに、被災地の農業を支援しようという輪が広がる。古里復興への思いが託された細麺は村外でも販売され、風味とのどごしの良さが評判を呼んでいる。

 秋元さんが売り出しているのは、小麦「きぬあずま」を使った「手延べ寒麺」。小麦は川内村の高地で冬を越し、麺にした際、味わい深く仕上がるという。一束(百八十グラム)税込み四百六十円。村内のファミリーマートと「あれ・これ市場」で販売している。
 震災前、秋元さんは水道設備業の傍ら農業を続け、きぬあずまなどを栽培。収穫した小麦を田村市の製麺所でうどんに加工し、村内の農産物直売所で販売していた。
 原発事故は、そんな小さな営みを砕いた。村内にとどまったが営農をほぼ諦めた。きぬあずまの栽培に再び力を入れるようになったのは、事故から約三年後。栽培面積を徐々に元に戻していった。古里の新たな特産品を開発しようと、のどごしの良い細い乾麺の製品化を思い立つ。
 「川内の名物とするため、最高の技法で乾麺に仕上げてほしい」。昨年秋、製粉した約百八十キロをやない製麺に持ち込んだ。同社は手延べ製法と呼ばれる独自の技術を有し、品質の高さには定評がある。秋元さんはその技にかけた。
 やない製麺は福島民報社が主催する第三回「ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)」で特別賞を受けた。自社製品の製造が中心で、個人から麺作りの依頼を引き受けるのはまれだという。箭内一典社長(63)は「小麦栽培に懸ける秋元さんの情熱に頭が下がる思いだった」と振り返る。
 秋元さんは昨年十二月、東京都の県アンテナショップ「日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)」で完成した手延べ寒麺の試食を行い、女性の来場者から人気を集めた。用意した五十束が完売し、品質に自信を深めた。
 今年も昨年と同量を製麺する予定で、秋元さんと妻の照子さん(68)は「原発事故前の川内を取り戻したい。福島の産業を盛り上げる力になりたい」と笑顔で見つめ合う。商品の問い合わせは秋元さん宅 電話0240(38)3010へ。

■おとぎの宿米屋で販売 須賀川 今秋、宿泊客にも提供
 手延べ寒麺は須賀川市の温泉旅館「おとぎの宿米屋」でも販売している。今秋には、朝食の温麺として宿泊客に提供される。米屋は第二回ふくしま産業賞で特別賞を受けた。同じ賞を受けた縁で、やない製麺の箭内社長が米屋に秋元さんと手延べ寒麺を紹介した。
 米屋を経営する米屋企業の有馬みゆき常務(57)は、被災地で農業に励む秋元さんの姿に感銘を受け、支援しようと決めた。「秋元さんの思いがこもった乾麺を広めていきたい」と話している。

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「手延べ寒麺」を手にする秋元さん夫妻
「手延べ寒麺」を手にする秋元さん夫妻
手延べ製法で細麺を仕上げた箭内社長
手延べ製法で細麺を仕上げた箭内社長

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