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奇妙な記念品(8月19日)

 廃炉作業中の東京電力福島第一原発に、お土産があった。八月一日に販売を始めた。批判が相次いで東電は、すぐに取り扱いを中止する。クリアファイルに1~4号機や構内の写真を載せた。構内に二つあるコンビニのみで購入できた。
 三枚セットで三百円という値段だった。ほぼ原価で利益が出るような品ではない。原発事故後の廃炉作業を担う企業などから、かねて「記念品が欲しい」との要望があったのだという。世界でも類を見ない未曽有の災害現場であり、視察した人や現場で働く作業員にとって特別な場所に違いない。それは理解できる。
 廃炉に向けた作業は今後も続く。事故に伴う避難指示が解除されていない地域があり、大勢の住民が古里に帰りたくても帰れずにいる。放射線への不安も抱える。多くの人を苦しめている原因を「記念品」にするのは、あまりにふさわしくない。
 一方で、賛成する意見もあり、販売について社内で再検討する。求める人がいるのだから、「何か別の品を」となるのか。ただ、どんなお土産でも、地元の人にとって誇りとなるものであってほしい。県民にとって原発事故は思い出ではない。厳しい現実である。

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