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【戊辰から立県へ】150年をつなぎ直す(8月20日)

 戊辰戦争百五十年に合わせた行事が県内各地で続いている。政府は、戊辰戦争を含む「明治百五十年」の全国の取り組みをインターネットで紹介するサイトを設けた。
 歴史的な資料の収集や保存、先人の顕彰や慰霊に加え、観光や地域振興に結び付ける企画もある。幕末から明治にかけての激動は、政権交代や戦争などの個別の局面だけでは語り尽くせない。節目の振り返りや地域おこしに終わらせずに、時代の流れを幅広く捉え、史実を継続的に掘り起こす努力が大切だ。
 八月二十一日の県民の日は、戊辰戦争の開始から八年後の一八七六(明治九)年に、現在とほぼ同じ福島県の姿が生まれた日にちなむ。新政府による廃藩置県に続き、全国的な府県再編成に伴って、旧福島県、磐前[いわさき]県、若松県の三県が合併した。
 立県百年の一九七六(昭和五十一)年、県は記念事業として式典をはじめ、文化団体が出演した「ふるさとフェスティバル」、県重要公文書展、青少年作文募集、青少年会館の建設などを掲げた。
 八年後の二〇二六年は立県百五十年に当たる。東日本大震災から十五年でもある。本県の近現代の歩みをたどって、未来を考える契機の一つといえよう。
 県が編集、発行した「福島県史」の編さん事業は一九六二年度に始まり、十年の歳月をかけて完成した。通史としての終わりは高度経済成長期に当たった。
 その後、石油ショック、東北新幹線の開業、バブル経済の崩壊、福島空港の開港、ふくしま国体、そして震災と原発事故などの歴史を刻んだ。
 編さん終了後の約五十年間にわたる歴史学の研究成果、新しく見つかった資料や証言を手掛かりに、過去の記述を見直したり、補ったりする必要がある。
 来年は、元号が改められる。県民の暮らしや政治、行政、経済、社会、文化の半世紀を見渡し、県史をつなぐ営みを再開するべきだ。個々の出来事を検証、評価しながら、歴史を的確に叙述する姿勢が欠かせない。
 福島市の県歴史資料館は二〇〇六(平成十八)年に立県百三十年を記念し「福島県の誕生~明治巡幸と三県合併~」をテーマに資料展を開いた。県の成立の歴史や、県の公文書保存の重要性を考えるきっかけとすることなどを目的とした。
 百五十年をひもとくには、行政文書が大きな役割を担う。国、県、市町村の公文書管理の現状や課題を考える機会ともなる。(安田信二)

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