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【文化プログラム】本県発信の機会に(8月22日)

 オリンピック、パラリンピックはスポーツだけでなく文化の祭典でもある。オリンピック憲章はオリンピズムの根本原則に「スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求する」と掲げ、五輪に合わせた文化プログラムの開催を義務付けている。
 二〇二〇年東京大会に向けて、日本各地でさまざまな文化プログラムが展開される。本県が誇る多様な文化を世界に発信する好機として、大いに活用することを望む。
 二〇一二年のロンドン大会が手本になる。四年間の文化プログラム期間中、英国全土の千カ所以上を会場に「世界シェークスピアフェスティバル」など演劇や音楽、舞踊、美術、文学、服飾、映画といった多彩な分野で十一万七千件の行事が催された。四万人の芸術家らが参加し、四千三百四十万人が楽しんだ。新たな作品の創造をはじめ文化、教育と企業、自治体の間の新たな連携が生まれ、自国文化への誇りが高まった。障害者の芸術を世界に広めたことは高い評価を受けた。
 文化庁は東京大会に向け、二〇一六(平成二十八)年から全国的な文化プログラムの盛り上げを図っている。行事情報を集約し、ウェブサイト「カルチャーニッポン」を通して世界に発信している。県内関係では福島市で先月開催された「ふくしま古関楽団2020結成発表会」や各地の祭り、企画展などが数多く紹介されている。情報発信の面で貴重な手段になる。
 半面、全国から集まる数多くの情報の中で、埋没してしまうことが懸念される。世界に自慢できる本県の文化は何か。めりはりをつけて発信することが必要になる。
 東京大会の開催時期に重なる相馬野馬追や田島祇園祭など伝統の夏祭りは、迫力や華やかさで本県ならではの「本物の日本文化」を伝えることができる。全国新酒鑑評会で連続日本一の酒造り、モモやトマトなど夏の新鮮な果物や野菜は「食」の大きな武器になる。小中高生からお母さん世代まで盛んな合唱もある。日本や諸国の名歌を歌うことは、相互理解にも役立つ。海外からの観光・交流人口の増加を図るだけでなく、本県文化への憧れを育み、ものづくりの心を伝えよう。
 県民の宝物を効果的に文化プログラムに結びつけ、魅力を伝える。多くの国から県内に出掛けてもらい、二〇二〇年以降も世界の人々に記憶される「遺産」にしなければならない。東京大会の開幕まであと二年を切った。知恵を結集し、効果的な取り組みを練るべきだ。(佐藤克也)

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