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サマータイム(8月22日)

 欧州在住の邦人漫画家とその夫は、ロンドンを訪れ、自由行動後に待ち合わせを約束した。十五分ほど遅れて指定場所に現れた漫画家は、夫が一時間十五分も待ったことを知る。この日はサマータイム終了直後だった。夫は腕時計の時間を戻すのを忘れていた。
 サマータイムは明るい時間帯を有効に使うため一時間ほど時計を進める。本県も舞台となる二年後の東京五輪・パラリンピックでの猛暑対策として、安倍晋三首相が検討を始めるよう指示した。労働時間や機器切り替えはどうなる-。波紋が広がる。
 折しも先輩格の欧州連合(EU)は制度の存廃を巡る議論を重ねている。理由の一つは当初想定されたほどの省エネ効果が得られていないせいだが、何より健康上の懸念が大きい。時計の針を進めたり戻したりすると体内時計が乱れ、睡眠不足となるという研究結果も報告されている。
 遠足の朝を迎えた小学生や大事な会議を控えた会社員が、早めに目を覚ますのも体内時計と関係が深いとされる。導入の行方が今後注目される。健康は何より大切という一点を置き去りにしてはなるまい。制度はいったん始まれば時計の針のように簡単には戻らない。

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