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【役所の障害者雇用】調査を県内でも幅広く(8月24日)

 中央省庁に端を発した障害者雇用率の水増し問題は、本県でも発覚した。県と県教委は割合を本来より高く算定していた。国や地方自治体は雇用の旗振り役となり、民間企業に手本を示す役割を担う。正反対の実態に、関係団体や有識者から怒りの声が上がり、民間企業は不信感を抱く。県の外郭団体、市町村などの公的機関で幅広く調査するべきだ。
 障害者雇用促進法に基づき、一九七六(昭和五十一)年から一定割合以上の障害者を雇うよう企業や公的機関に義務付けている。国や地方自治体は模範となるべく、非正規職員を含む常時雇用者の中で、法定雇用率を2・5%に設定する。民間企業は2・2%としている。達成できない企業から納付金を徴収し、達成した企業には補助金を出す。消極的な企業は名前を公表される場合もある。
 厚労省のガイドラインによると、対象となるのは原則として身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人。身体障害者については都道府県知事が定める医師や産業医の診断書・意見書がある人、知的障害者は精神保健指定医などの判定書がある人に限って認めている。中央省庁はガイドラインを拡大解釈するなどして、障害の程度が比較的軽く、手帳が交付されない職員も合わせて算出していた。
 本県では、県が二〇一五(平成二十七)~二〇一七年度まで、県教委が二〇一三~二〇一七年度まで、視覚や聴覚などに「障害がある」と申告した人が手帳を持っているのかを確認しないまま雇用率に上乗せした。二十二日に記者会見した担当者は「制度の解釈が間違っていた。今後は国のガイドラインに基づき算定する」と陳謝した。県は報道機関からの問い合わせに一時、水増しはないと説明していた。その後に翻したのは残念だった。
 実際のところ、単純なミスか、意図的か、内部に点検する機能はなかったか、などの疑問が生じる。県には、しっかりと県民に説明する責任がある。県内の障害者団体関係者も「県が制度の趣旨を正しく理解していなかったのは残念」と話す。早急に信頼回復に努めなければならない。
 県議会の各会派は二十三日、九月定例県議会に向けた政調会を開き、県と県教委が事情を説明した。定例県議会は九月十四日から十月三日まで開かれる予定だ。議会には県の執行部や職員の仕事をチェックする責務がある。誰もが納得できるよう解明されることを望む。(川原田 秀樹)

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