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【平の循環バス】実現へ前向きの検討を(8月25日)

 いわき市の「たいらまちづくり株式会社」は平七夕まつりに合わせ、八月六、七の両日、無料のまちなか循環バスを走らせた。市中心市街地活性化基本計画にのっとった社会実験で、利用状況や同時に実施したアンケートを基に定期運行の可能性を探る。実現のためには何が必要かを前向きに検討してほしい。
 市中心市街地活性化基本計画は二〇一七(平成二十九)年三月、国の認定を受けた。平地区の百十六ヘクタールを計画区域に、二〇二二年三月までの五年で事業を進める。「まちなか居住の促進」「新規出店の促進」「歴史・文化資源を活用したにぎわい創出」の三つを目標に掲げた。まちづくり株式会社は市中心市街地活性化協議会の一員として参画している。
 社会実験は、昨年の七夕時期に続いて二回目になる。いわき駅前を出発し、計画区域内にある大型商業施設のイトーヨーカドー平店とイオンいわき店、市役所などを経由して駅前に戻る約四・五キロを回った。東西に約八百メートル続く本町通りの七夕まつり会場の両端近くにも停留所を設けた。正午から午後八時まで、約十五分間隔で走り、二日間で六百人余りが利用した。
 計画区域内では一般向けや高齢者用など、複数のマンションの建設や計画が進んでいる。自家用車を持たなくても暮らしやすいまちなかの実現には、バスが役立つ。郊外から訪れる人にとっても、気軽に利用できる公共交通はまち歩きの魅力を広げる。今回の実験では、七夕会場を散策した後、バスで出発地点に戻る人が目立った。
 長野県上田市は二〇一五年に中心市街地の循環バスを導入した。市が経費を負担し、バス会社に運営を委託している。乗車賃は一回百円で、三百円の一日フリー券もある。需要を見極め、観光シーズン以外は運行を土日と祝日に限定している。三重県松阪市はコミュニティーバスを地域で支えてもらおうと、企業協賛を募る。車体や停留所などへの広告掲示で得られた協賛金を運営費に充てている。
 平の中心市街地に合ったバスの形態はどんなものか。今後は平日を含め、さまざまな時期や時間帯での実験が必要だ。利用者アンケートに加え、大型店をはじめとした、計画区域内で営業する商業者の声も聞いてみたい。
 まちなかに人を呼び込むためには、駐車場を開放し、バスで回遊してもらうのも一手だ。利用者も商業者も事業に参加する意識を持ち、意見を出し合って循環バスを実現させよう。(鈴木俊哉)

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