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【多目的トイレ】観光地図に表示を(8月28日)

 二〇二〇年東京五輪、東京パラリンピック開幕まで二年を切り、両大会に向け各地で誘客の準備が進む。国内外から観光客を受け入れる上で障害者や高齢者、子どもが安心して使える多目的トイレの確保は重要だ。新設や改修とともに、きめ細かい情報提供、利用者のマナー向上が「おもてなし」の鍵となる。
 多目的トイレには、車いす使用者が利用できる広さや手すりに加え、おむつ替えシート、ベビーチェアを備える。人工肛門を付ける人が腹部などを洗浄できるオストメイト対応になっている場所もある。車いす使用者だけでなく、子ども連れをはじめ、足腰の弱い高齢者、介助者の同伴が必要な人が利用できる。健常者にとっても、キャリーバッグなど大きな荷物があっても入りやすいといった利便性がある。県内では一九九五(平成七)年に制定された県の「人にやさしいまちづくり条例」に整備基準が示され、県が設置を推進している。
 東京五輪の野球・ソフトボール試合会場となる福島市の県営あづま球場は十一月に改修が始まる。バリアフリー化が工事の柱の一つになり、多目的トイレを増設する計画もある。他の施設にも広げるべきだ。
 きめ細かい情報発信も求められる。県のホームページから閲覧できる「うつくしま、ふくしマップ」で「多目的トイレ」を検索すると、病院や福祉施設、スーパー、コンビニなど千三百七十三カ所が表示される。オストメイト対応は、福島市は三十一カ所、郡山市は四十カ所、いわき市は四十六カ所をそれぞれホームページで公表している。会津若松市は公共施設に限り、手すりの位置が分かるような写真入りで掲載する。
 パソコンやスマートフォンを使わない人にも情報提供が必要だ。観光パンフレットや地図にマークを使って表示すれば伝わりやすい。その場合、何のマークか分かるようにすることが肝心だ。
 各地の設置状況を把握している団体はなく、公表されている情報が古い例もある。東京五輪に向け、正確な情報が提供できるよう、現状調査は不可欠だ。
 国交省は二〇一二年に多目的トイレに関する調査を行った。健常者の長時間使用で障害者が利用できないケースが確認され、マナー向上の必要性を示した。二〇一八年版観光白書にも、すぐに行うべき施策項目に利用マナー啓発が盛り込まれている。一般用を使えない人がいることを忘れず、思いやりの心が大切となる。(三神尚子)

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